【インタビュー&動画】アラン・ギルバート氏より、NDRエルプフィル日本ツアーに向けてコメントが到着!

「相思相愛のエルプ・フィルとハンブルクゆかりのブラームスをお届けします」 

首都ベルリンに次ぐドイツ第2の都市ハンブルクに本拠を置くNDR(北ドイツ放送協会)エルプ・フィルハーモニー管弦楽団が2023年11月、首席指揮者アラン・ギルバートとともに5年ぶりの日本ツアーを行います。ギルバートは米国人の父マイケル、日本人の母(建部)洋子そろってニューヨーク・フィルハーモニックのヴァイオリン奏者で、自身も2009ー2018年に同フィルの音楽監督を務めました。2000年にスウェーデンのストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者、2004年にエルプ・フィルの前身である北ドイツ放送交響楽団首席客演指揮者に就いた頃からはヨーロッパ、とりわけドイツや北欧の仕事で評価を高めてきました。スウェーデン人チェロ奏者と結婚し、3児を授かった今はストックホルムとニューヨークに居を構え、ストックホルム王立歌劇場音楽監督として、オペラの仕事にも積極的に取り組んでいるマエストロです。 

2023年7月20日、ギルバートの日本の「家族」である東京都交響楽団(都響)との演奏会開演前、東京文化会館の楽屋でエルプ・フィルとの来日への抱負を聞きました。最初に「今年2月、エルプ・フィル首席指揮者の契約を2029年夏まで延長しました。2019年の就任から数えると10年の長いパートナーシップ。今までの5年、これからの5年で何か変化はありますか?」と質問してみます。 

「2001年に初めて共演する際、(北ドイツ放送響は)『気難しいオーケストラだ』と聞いていたので緊張しましたが、実際にはとてもフレンドリーでした。10年間の首席客演指揮者時代を通じて一貫して良好な関係を築き、音楽に対する見方をプレーヤと一体で深めてきました。指揮者とオーケストラの関係は結婚にも一脈通じ、強い愛情で結ばれていても絶えず、新鮮さを保つ必要があります。2019年の首席指揮者就任と前後してメンバーの世代交代が進み、また新たなケミストリー(化学反応)が生じつつあります。新型コロナウイルス感染症の世界拡大で多くの不自由が生じた期間にも無観客演奏の収録やストリーミング、小さな編成の新しいレパートリー、飛沫感染対策に配慮した管楽器の特殊な配置など様々な実験に取り組み、仕事を続けました。結果として一層の強さを獲得できたと思いますし、これを今後にも活かしていきたいと考えています」 

 

2023年の日本ツアーはハンブルクに生まれた19世紀の大作曲家、ヨハネス・ブラームス(1833ー1897)の「交響曲第1番」「第2番」のいずれかと「ピアノ協奏曲第1番」を組み合わせたプログラム。ソリストには2021年、ワルシャワの第18回ショパン国際コンクールで第2位を得た日本のホープ、反田恭平が起用されました。

「久しぶりの日本ツアー、首席指揮者就任後は初めてという機会でもありますから、最もわかりやすい曲目を選びました。作曲者の生まれた街、ハンブルクのオーケストラとの長年の共同作業を通じ、どのようなブラームス解釈を私が育んできたのかを、しっかりとお伝えします。地元ハンブルクでもブラームスを演奏するのは特別な機会で、そうそう頻繁にはありません。それでも何度か、4曲の『交響曲』全曲シリーズに取り組み、ドイツのオーケストラの歴史や伝統に根ざしたアンサンブルと私の学んできた音楽を照らし合い、独自のブラームス像を究めてきたつもりです。反田恭平さんとは初共演。これまで共演してきた多くの若い日本人ソリストと同じく、素晴らしい実力の持ち主である点に疑いはなく、オーケストラや私にも新たな収穫があると確信しています」

 

ここ数年、ギルバートはスケジュールを「オペラとコンサート、ちょうど半分ずつ」に整え、エルプ・フィルとストックホルム歌劇場以外の仕事場を慎重に絞ってきました。

「若い時は世界のオーケストラを次々に指揮して回りましたが、56歳の今、ほぼ毎シーズン客演するのはベルリン・フィル、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、ボストン交響楽団、クリーヴランド管弦楽団と都響くらいです。ハンブルクとストックホルムに『ホーム』を構え、世界の何か所かに『ファミリー』、つまり『いつも戻って来られる場所』が存在する状態を、最高に幸せだと感じています」

取材と翻訳=池田卓夫(音楽ジャーナリスト@いけたく本舗®️)

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公演情報

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