巨匠イヴリー・ギトリスにインタビュー!?
今日は1922年生まれのヴァイオリニスト、マエストロ・イヴリー・ギトリスにお越しいただいています。
さっそく楽屋をノックしてみましょう。
コンコン、失礼します、マエストロ。
「………」
マエストロ、いらっしゃいますか?コンコン。
「………」
おかしいな、もうお見えになっている時間なのに。ちょっと扉を開けてみましょう。失礼します、エクスキューズミー。あれ、やはり誰もいません。おかしいな。ちょっと携帯にかけてみます。ピッピッピッピッピッピ、、、。プルプルプルプルプル、、、。あ、繋がった。
「ハロー、マエストロ・ギトリス。今どちらですか?」
「おう君か、マイ・マネージャー。今リハーサル中で忙しいんだ。後にしてくれないか。」
「今どちらですかマエストロ?楽屋でインタビューの時間ですよ?」
「何言ってんだ!今ヨハネスブルクでリハーサルの最中だよ。」
「ヨハネスブルクってどこですか?」
「南アフリカだよ、明日からコンサートだからな。」
「ええっ、南アフリカですか!?今日はインタビューと、日本ツアーの打合せをすることになってたじゃないですか。」
「そうかそうか、悪かった。そういうわけで、また今度にしてくれ。」
「今度っていつですか?」
「週末にパリに帰って、月曜日からはスウェーデンのストックホルム公演。終わったらすぐに南カリフォルニア。ロンドンや、キエフのオーケストラとのウクライナ公演も入ってるなあ。そうそう、先月はアルゲリッチとルガーノの音楽祭で共演してきたよ。彼女も元気にやってたよ。」
「マエストロの方がよほど元気じゃないですか!でもインタビュー、いつだったらできるんですか?」
「だから忙しいって言っているだろ!また今度だ。切るぞ。」
「ちょ、ちょっと待って下さい!インタビューはいいので、とりあえず11月2日のプログラムの話だけ。協奏曲とソロの公演が好評で、追加公演を行うことになりました。ミスター木野からは、マエストロとそのお弟子さん、仲間たちとメンデルスゾーンの弦楽八重奏の提案があります。いかがでしょう?」
「何、メンデルスゾーン!?なんだ、今ちょうどこの曲のリハーサルやってるところだよ。ぜひやろう。」
「それは奇遇ですね!ありがとうございます。他には何を演奏しましょう?」
「悪いがリハーサル中だから、パリに帰ったら連絡するよ。じゃあな、マイ・ディアー。チャオ!」ガチャ。
ふぅ。いつもこんな調子だ。でも、メンデルスゾーンが決まっただけでもよかった。とりあえずホームページにアップしよう。インタビューを楽しみにしていたお客様、誠に申し訳ありません。そういうことで、急きょこの楽屋では、今後数回にわたってイヴリー・ギトリスの特集を組んでまいりたいと思います。乞うご期待下さい。
(続く)
※以上はイヴリー・ギトリスとの実際の電話での会話をもとに構成されたフィクションです。予めご了承ください。